The story
こんにちは。ナレーターのアブシャです。今日は、京都の街の真ん中に広がる広大な緑のオアシス、京都御所を一緒に歩いていきましょう。
ここは1868年に都が東京へ移るまで、500年以上にわたって歴代の天皇がお住まいになり、政治や儀式が行われた日本の中心地でした。 まず、周りを取り囲む広大な公園「京都御苑」を歩きながら、御所を守る高い壁に注目してみてください。これは築地塀と呼ばれ、引かれた5本の白い線は、ここが最も高い格式を持つ場所であることを示しています。
砂利道を踏みしめる「ジャリ、ジャリ」という音に耳を澄ませてみてください。この音は、かつて不審者の侵入を知らせる防犯の役割も果たしていました。 正面に見える大きな門は「建礼門」です。
この門を開けることができるのは、天皇陛下や外国の元首といった特別な賓客だけ。私たちがその前を歩くとき、かつての宮中行事の華やかさが風に乗って聞こえてくるような気がしませんか。 中へ進むと、圧倒的な存在感を放つ「紫宸殿」が見えてきます。
ここは即位の礼などの重要な儀式が行われた、御所の中で最も格式高い建物です。伝統的な「入母屋造り」の屋根は、檜の皮を何枚も重ねた檜皮葺で、その滑らかな曲線が京都の空に美しく溶け込んでいます。階段の両脇には「左近の桜」と「右近の橘」が植えられており、平安時代から続く雅な伝統を今に伝えています。
さらに奥へ進むと、生活の場であった「清涼殿」や、美しい庭園「御池庭」が広がります。大きな池に架かる「欅橋」が水面に映る様子は、まさに一幅の絵画のようです。ここで歴代の天皇は、季節の移ろいを感じながら歌を詠み、国の安寧を祈られたのでしょう。
最後に、御所の北東の角へ行ってみてください。そこは「猿ヶ辻」と呼ばれています。築地塀の角が少し凹んでいるのがわかりますか。
これは、鬼が出入りすると言われる「鬼門」を避けるための知恵です。そして屋根裏をよく見ると、金網の中に小さな木彫りの猿が閉じ込められています。夜になると猿が暴れ出さないように閉じ込められたという、お茶目な伝説が残っているんですよ。
この場所には、目に見える豪華さだけでなく、日本人が大切にしてきた自然への敬意と、静寂の中に宿る力強さが満ちています。現代の喧騒を忘れ、千年の時を刻んできた風を感じながら、どうぞご自身のペースでこの神聖な空間を歩き続けてください。