The story of Steps from Ichibangai, the street of black-plastered kurazukuri · 1 min · 日本語

時を越える漆黒の守護者:川越・一番街、復興の知恵と粋を歩く

A narrated story about Steps from Ichibangai, the street of black-plastered kurazukuri — press play, or read it below.

Avsha narrates a story about wherever you are — any street, in your language. Free to start, no account.

The story

皆さん、こんにちは。ツアーナレーターのアブシャです。今、私たちは連雀町から一番街へと足を踏み入れようとしています。

ここは「小江戸」川越の象徴、蔵造りの街並みが最も美しく残る場所です。左右を見渡すと、重厚な瓦屋根と、吸い込まれるような深い黒色の壁が続く景色に圧倒されることでしょう。しかし、この風景は単なる「古き良き伝統」として生まれたわけではありません。

そこには、かつての川越を襲った悲劇と、それを乗り越えようとした商人たちの不屈の精神が刻まれています。 時計の針を1893年、明治26年の3月に戻してみましょう。当時の川越を、「川越大火」と呼ばれる猛火が襲いました。

町の中心部のほとんどが灰燼に帰し、多くの人々が家も財産も失いました。しかし、そんな地獄のような景色の中で、奇跡的に焼け残った数軒の建物がありました。それが、江戸時代から伝わる耐火構造を持つ「蔵造り」の店舗だったのです。

焼け野原に立った川越の商人たちは、決意しました。「二度と、この町を燃やさせない」。彼らは莫大な費用を投じ、当時最新の消防技術でもあった蔵造りで、街全体を再建することにしたのです。

目の前に広がるこの漆黒の壁をじっくり見てください。これは「江戸黒」と呼ばれる仕上げで、消石灰に松煙などを混ぜて塗り上げ、何度も磨き抜かれたものです。厚さ数十センチにも及ぶ土壁は、外からの熱を遮断し、大切な商品と家族の命を守るための盾となりました。

歩みを進めると、窓の部分に重厚な「観音開きの扉」がついているのが見えるはずです。火災の際にはこの巨大な扉を閉め、隙間に目塗りをすることで、内部への延焼を完全に防ぎました。家屋のてっぺんを飾る大きな影盛の瓦や、どっしりとした箱階段。

これらは単なる装飾ではなく、商人たちの誇りと、未来への投資の象徴なのです。 ふと空を見上げれば、通りの先に「時の鐘」のシルエットが見えてくるかもしれません。あの鐘の音を聞きながら、明治の商人たちは、瓦一枚、壁ひと塗りにこだわり、この美しい街並みを築き上げました。

今、私たちが歩いているこの道は、災厄を力に変えた人々の知恵と粋が詰まったタイムカプセルです。一歩進むごとに、その黒い壁の奥に秘められた、力強い鼓動を感じてみてください。さあ、さらに奥へと進み、この街が守り抜いてきた物語の続きを探しに行きましょう。

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